これは私がブログでやっている「器満たし編」の番外編のようなものです。
短いSSですが、息抜きにでもどうぞ~
器満たし編~befor~
かくれんぼ
俺が雛見沢に転校してきて少したった、5月のある日。
「じゃ~んけ~んぽん!」
「はうっ、レナ負けちゃったんだよぉ~?」
「みー、レナが今日の鬼さんなのですー」
「うーん、こりゃあちょいと気合入れてやらないといけないねぇ……」
「圭一さん、もう少し空気を読んでくださいませ」
「こら沙都子、それはどういう意味だ?」
憎まれ口を叩いた沙都子の頭をぐりぐりとやり、俺は頭の中でシュミレートを始める。
今日の部活はかくれんぼ。
隠れ場所は分校の敷地内限定で、見つかるのが早いヤツほど「強め」の罰ゲームを科せられるっていう寸法だ。
ちなみに、鬼は見つけた人数次第で罰ゲームの強さが変わり、全員見つけたら罰ゲームはなし……ゼロか1かの分、もしかしたら鬼役が一番気楽かもしれないな、コレ。
ともあれ、分校の敷地内となると地の利はないに等しい。
レナの動きを先読みして隠れ場所を変えていくのがベターか、それとも……
「ふーん、圭一くんはそういう作戦なんだね。じゃあ、最初に捕まえちゃうんだよ」
「へ?」
「よーし、ならおじさん達は圭ちゃんを囮にして何とか逃げ切るかねぇ」
「圭一、僕達のために頑張るのです」
「圭一さんでは、囮にもならないかもしれませんわね……まあ、せいぜいレナさんの気を引きまくってくださいませ」
また考えながらぶつぶつやってたのか、俺……と頭を抱える間もなく、魅音がスタートの号令をかける。
そしてレナが大きな声で数を数えだし、俺達は思い思いに駆け出したのだった。
思えば、それは何かの導き……運命だったのかもしれない。
「さすがに目ぼしいところはレナもすぐにチェックするだろうからな……こりゃ、かくれんぼというより鬼ごっこだぜ」
俺はボヤキつつも探偵かスパイかのように物影をこそこそと移動する。
今のところ、レナに見つかったやつはいないようだ……レナのヤツ、俺をいの一番に捕まえるつもりなんだろうな。
周囲を警戒し、分校のちょうど裏手にある物影に移動して一休みしようと思った時だった。
目当ての場所に翡翠色のポニーテールが見えたのは。
「魅音が先客か……別の場所に行った方がいいな……」
魅音のことだ、俺を見かけたらきっとレナに何らかの方法で教えるに違いない。
そして自分はまんまと逃げおおせるはずだ。
そう思った俺はもう一度魅音の様子を探ろうとして、はっと彼女に目を奪われた。
「なんて顔してんだ……」
そこにいたのはいつも明朗快活で周りを楽しく引っ張る園崎魅音ではなかった。
見ている俺のほうまで胸を締め上げられるような……そんな痛々しくて弱弱しい表情で何度も溜息をつく彼女から俺は目を離せないまま、そっと魅音からは見えないように身を隠す。
魅音はこの雛見沢を支配しているといっても過言じゃない、園崎家の跡取り娘だ。
きっと、そういった立場で振舞う事を求められる場所にも出入りしていることだろうし、もっと言うなら常日頃から「リーダー」として振舞うことを求められているのかもしれない……本人の気持ちは二の次で。
もしかしたら、本当の魅音は今俺の目前にいる弱弱しい顔をした女の子なのか……
「無理……してんだろうな……」
気難しい婆さんと二人暮らしと聞くから、甘えたい時に甘えられる人もいないのだろう。
鈍感王だとか言われる俺だが、幾ら何でもあんな表情を見れば、それくらいは察しがつく。
少し前の俺が、そうだったから。
だから……あの時の俺みたいに崩れてしまわないように……
「守ってやらないとな……」
俺が出来ることなんてタカが知れている。
けれど、魅音の悩みを聞いてやるくらいの度量はあるつもりだし、一緒に悩んで解決法を探すことだってできる。
だから、アイツがそうやって俺に色んなことを話してくれるように、俺はもっとアイツに近しい人間にならないといけない……
そこまで考えた時だった、魅音の向こう側にチラリと白い何かが見える。
「やべっ……」
俺は身の危険を感じてそそくさとその場を後にする。
魅音もレナに気付いたらしく、俺とは別の方向にそっと逃げていく。
そして……
「うう……なんで俺がいの一番に……」
「おじさんが二番目に見つかるなんてねぇ……」
ネコミミメイド服を纏った俺の横で、レオタードに身を包んだ魅音がボヤく。
「てめー、もしかして俺をどっかで見かけて、それでレナに何か教えたろ」
「そんなことしないよー。それだったらなんで私が圭ちゃんの次に見つかるのさー」
「そりゃあ、きっと俺を陥れた天罰ってやつだろ」
「ぶーぶー、こんな美少女に天罰なんてありえないよー」
「美少女……ねぇ?」
そうやってぎゃーすかと言い合う俺達は程なくしてレナの「可愛がり」を仲良く受け、お持ち帰り寸前で共謀して脱出に成功する。
そんな楽しくて騒がしい日常の中、どこかにかくれんぼでもしてしまった魅音への想いを見つけたのは、ひぐらしが鳴き始めた6月のある日のことだった……
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2年 19週前
おじさんの顔と可憐な乙女の顔のギャップに圭一はコロリとやられちゃったわけですな(笑)
ええ、このまましっかりと罪滅ぼし編の約束を果たしてもらわんとあきまへんな
いつもおじさんな訳ではないので、素の魅音は可愛くないと(笑)
ギャップ萌えという奴ですな(笑)